2011年10月5日水曜日

パラグアイの農地事情


















先月末に自分のいるイグアス日系移住地にて、土地無し農民による、日系大農家の畑の不法侵入及び座り込みがありました。ちょうど小麦や菜種の収穫が終わり、植え付けの真っ最中を狙った出来事でした。

パラグアイのニュースでも取り上げられたわけですが、このような事件はイグアス移住地では時々起こります。そもそも日系移住地というのは、第二次世界大戦後に日本政府が移住事業として、パラグアイ政府との合意の下、政府として土地を購入し、区画整理をしたのが始まりです。そこに日本で募った移住者や、元々ブラジルやパラグアイ国内の他の移住地にいた方々がやってきて、日本政府より土地を提供され、原始林の状態から徐々に開墾し、今に至るというわけです。入植当初は、すさまじい住環境だったと聞きますが、今年で移住地設立50周年を迎え、今では、パラグアイを世界で指折りの大豆輸出国にしたのは日系農家だ、と言われています。

一方で、周辺にはパラグアイ人の農家もいます。イグアス市の人口が約2万人弱らしく、そのうちいわゆる日系人というのは1000人いません。当然パラグアイ人が大部分を占めるわけですが、中には農村地区に住む農家で、土地を持たない人々もいます。元々は土地の所有者が明確でない時代に国道から奥地に入り、住居を構え、住むようになったとも言われています。土地がない農家は、周辺の土地を持つ農家に雇われて働いたり、都市部や外国へ出稼ぎに行くわけですが、中には、今回のような事件に関わる人々がいるわけです。

農業をやるには土地がなければどうしようもないわけですが、農地の問題というのは、パラグアイに限らず、どの国にも存在します。隣りのブラジルも同じような騒動がありますし、インドでも農地改革は繰り返し行われてきました。そして、日本も、第二次世界大戦後、農地改革により、寄生地主(土地を所有し、小作人に農業をさせる地主)から小作人へ土地の分配をしました。誰にとっても不平等にならないように土地を割り当てるのはほぼ不可能ですし、元々土地を持っていた人にしてみれば政府が買い上げるとは言え、納得がいかないし、そもそも農地を細分化すればする程、基本的には効率が下がり、全体としての生産量は下がる。外貨を稼ぐ以上に、食料自給率は国家の安全保障に関わるので、複雑な問題です。

パラグアイ国内で、このような農地の問題が深刻な社会問題となり、テロ活動が時々見られます。パラグアイ人民解放軍(EPP)といって、現政権の少数独裁政治と農地改革に対する不満を基に、マルクス・レーニン主義(簡単に言えば社会主義・一党独裁)を掲げ、現政権の打倒を狙って、パラグアイ北部で殺人を繰り返しています。パラグアイ国家警察によると、コロンビアのコロンビア革命軍というテロ組織とのつながりがあるそうです。といっても規模は小さくパラグアイメディアによるとメンバーは15人とのこと。

つい最近もそのEPPにより北部で警察官が殺害されました。そして、今週に入って北部コンセプシオン市の市長に脅迫状が届いています。EPPの活動が活発な北部の県では、アメリカ、韓国といった外国政府の援助活動はほとんど停止しています。

南米の中でも比較的犯罪が少なく、ラテンのノリというよりも穏やかな人が多い国ですが、農業が主産業であるパラグアイの複雑な社会問題です。

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