2014年3月4日火曜日

グルジアから見るクリミア半島情勢

                                                                                                 <http://www.georgianavi.com/southossetia.html>
現在BBCを見てもCNNを見ても、トップはウクライナのクリミア自治共和国の話題で一色です。親ロシア派のヤヌコビッチ大統領が議会の可決により辞職に追い込まれてからというもの、ロシア系の住民が多くいるクリミア自治共和国では、ロシア軍のプレゼンスが増し、欧米諸国から批判されています。そして、ロシアのプーチン大統領は、議会で、情勢によってはウクライナ国内で軍隊を使用する許可を得ました。それにより緊張感は高まったわけですが、元々クリミア自治共和国にはロシア軍が駐留していたはずですが、何故、今になって批判されているのでしょうか。メディアによっては、第二のグルジアになるのではないか、と報じていますが、そもそもグルジアでは何があったのでしょうか。


グルジアは、1991年にソ連崩壊とともに国として独立しましたが、その後も多民族国家として難しい問題を抱えています。グルジア国内で、ロシアと隣接している南オセチア自治共和国とアブハジア自治共和国が半独立状態にあります。それぞれ91年にソ連が崩壊したときに国として、独立することはなく、グルジアの一部として国際的(欧米や国際機関)に認識されています。それは、ソ連崩壊時に国として認められた共和国というカテゴリーよりも一つ下の自治州であったためであるからです。しかし、それらの地域に住む、それぞれオセット人やアブハジア人は今も独立を求めています。それだけならおそらく軍事力、経済力でグルジアが抑え込む形となりますが、ここで状況を複雑化しているのがロシアの存在です。ロシアの、旧ソ連を構成していた国々への基本的な考えとしては、できるだけ影響力を及ぼしたい、というところです。そのための一つの戦略が、それぞれの国の中で独立を試みている地域をサポートするということにあります。それによって、それらの地域を囲い込み、一方でそれぞれの国家の統治力を妨げ、国力を弱体化させることにより、相対的にロシアの影響力を強めようという意図です。南オセチアとアブハジアも強力なロシアのサポートを受けています。ロシアの軍隊が駐留することに加え、ロシアは、これらの自治共和国を独立した国家として認識する見解を示し、その住民が自由にロシアへ行き来できるようにその住民にロシアのパスポートを発行しています。一方で、グルジアに対しては、2006年から2013年までロシアへのグルジアのワイン、果実、野菜などの輸入を禁止しています。これはグルジアにとっては大きな打撃であって、元々、国内の主要産物の一つであるワインや果物の主要輸出先はロシアであったので、これにより多くのグルジアの生産者が苦しみました。そして、ロシア国内のグルジア人の出稼ぎも厳しく取り締まるようになりました。

なぜロシアがそのような措置をとるにいたったかは、2003年にバラ革命を経て、欧米寄りのサアカシュヴィリ政権が発足し、ロシアとの関係が悪化したことにあります。緊張が最も高くなったのが、2008年の南オセチア紛争のときではないでしょうか。平和の祭典、オリンピックが北京で開催されたまさにその日、グルジアは南オセチア地域へ軍事介入し、それに駐留するロシア軍が応戦しました(ロシア軍が先に軍事行動を起こしたとも言われている)。紛争自体は5日間で終わりましたが、少なくとも数百人が亡くなったとされています。当時のサアカシュヴィリ政権は、それとともに経済の自由化を図り、それにより高い経済成長は達成されるようになりました。一時は高い支持率を得ていましたが、ロシアとの関係が悪化することにより、国民生活が苦しくなると、批判が大きくなり、2013年の選挙の際には与党が変わっています。

話を戻し、欧米諸国が、クリミア自治共和国でのロシアの動きをけん制している理由は、ロシアがウクライナにおける混乱をチャンスと捕らえ、少なくともクリミア半島を南オセチア自治共和国のように半独立状態にし、もし可能であれば、ウクライナの東部をウクライナから分離させ、ロシアよりの国家を樹立しようと考えているのではないか、そして、そのためには軍事介入も辞さないだろう、という見解があるからといえます。

もちろん、それは欧米諸国の見解であって、ロシアからしてみれば、ウクライナの首都キエブでデモが暴徒化したように、クリミアにおいてもそのような事態にならないとは限らないし、特にクリミアにはロシア人も多く住むので、ウクライナ政府が治安を確保できない状態であれば、そういった人々を守るためにロシアが介入するのはやむをえない、という見方もできると思います。

いずれにしても、釈放されたティモシェンコ元大統領が選挙を経て、再び大統領の座に返り咲き、とりあえずは事態が沈静化するのではないでしょうか。おそらくクリミア自治共和国に駐留するロシア軍は縮小しながらも、滞在を続け、ロシアはヤナコヴィッチ元大統領の弾劾を批判しつつ、クリミアの治安維持を理由にクリミアでのプレゼンスを維持することでしょう。

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